= 若き後継者へ告ぐ =

時に僕は不安になることがある。
 君たちが果たして僕の言っている言葉の意味を正確に理解しているのか。
時に僕は心配になることがある。
 君らが「正当な後継者」として果たして生き残っていけるのかどうか。

想像をしてみるがいい。
 先代や先々代が君の年頃のとき、どれほどの歯軋りの中から立ち上がったのか。
想像をしてみるがいい。
 彼らがどれほどの惨めさの中にたち続け今の地位をつかんだのか。

君が営業系の出身ならば、
 今社内の誰よりも多くアクセルを踏み続けているかい?
君が経理系の出身ならば、
 社内の誰よりも遅くまで書類の整理をしているかい?
君が現場系の出身ならば、
 社内の誰よりも高い技術を身につけているかい?
君が製造系の出身ならば、
 工場のことは誰よりも詳しく分かっているかい?

よもや、誰よりも遅く出社していたりはしないよね。
もしや、誰よりも早く会社を出たりはしていないよね。
付き合いにかこつけて、本当は遊んでいたりはしていないよね。

 
時に僕は不安になることがある。

今月君は何冊本を読んだのだろうか?
今月何通の手紙やメールを書いただろうか?
今日、どんな新しいことを学んだのか教えてくれるかい。
昨日、どんなすばらしい人に出会ったかを教えてくれるかい。

よもや、自宅に帰ってビール片手にプロ野球なんて見ていないよね。
まさか、夫婦そろってお笑い番組に笑い転げたりしていないよね。
寝る前に、日記を付け忘れたりはしていないよね。
名刺整理は毎日やっているよね。

君は僕の言葉を覚えているだろうか。

「跡継ぎは、人と同じことをやっていても誰も認めてくれない。
2
倍やっても当たり前としか見てはもらえない。
3
倍やって初めて、少し認めてもらえる」
かつての私がそうだったように、【3倍のつらさ】を教えたことを忘れてはいないよね。

仕事が無いという前に、自分たちが住んでいる街の人口ぐらい知っているよね。
世帯数を覚えているよね。
男女構成比や年齢構成比も知っているよね。

20
歳でも堂々とした後継者を知っているよ。
30
歳でも中学生並みの後継者がいることを知っているよ。
40
歳を超えてなお、ガキみたいな後継者をたくさん見ているよ。

君は違うよね。

時に僕は不安になることがある。

子供は甘いものが好きだ。
だから子供は「甘いか」「辛いか」しか分からない。

大人は「すっぱい」と「にがい」を知ってるから大人なんだよ。
そして、「にがい」という味は、がんばってがんばってそれでもなおうまくいかず、そこからまた立ち上がるときに初めて分かる味なんだ。
君はもう「にがい」を覚えただろうか?

誰かをうらやむとき、その誰かが噛んだ砂の量に思いをはせてみるがいい。
誰かを笑うとき、己のつたなさを自覚しながら笑うがいい。

今日の新聞は読んだかい?
今日見たニュースを教えてくれるかい?
明日誰と会うんだい?
明日何をするんだい?
まさか、予定が無いなんてことはないよね。

時に僕は不安になることがある。
 君たちが果たして僕の言っている言葉の意味を正確に理解しているのか。

時に僕は心配になることがある。
 君らが「正当な後継者」として果たして生き残っていけるのかどうか?


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コメント: 2
  • #1

    Terrell Felipe (木曜日, 02 2月 2017 21:33)


    Keep this going please, great job!

  • #2

    Clorinda Carberry (金曜日, 03 2月 2017)


    Howdy! I could have sworn I've been to this site before but after browsing through many of the posts I realized it's new to me. Anyhow, I'm definitely delighted I came across it and I'll be bookmarking it and checking back regularly!